テニス考

テニスの王子様についての考察

「『テニスの王子様』各校ファンの特色について」結果と考察3~行動傾向~

では、続いて各校ファンの「行動傾向」についての結果と考察です。「行動傾向」とは「『テニスの王子様』を楽しむためにしていること」と考えてもらえればいいかと思います。

 私は自分の周りのテニスの王子様ファンを見ていて、おなじ「テニスの王子様」を楽しむためとはいえ、何をして楽しむかは様々だな、と感じることがあります。例えば、あるファンは「テニスの王子様」の同人誌を制作したり、他者の同人誌を見ることを好んでいるのに対し、別のファンは同人誌に全く興味はなく、同人イベントに参加したことがなかったりします。また、あるファンはテニミュが大好きで一回の公演で何回も観劇するのに対し、別のファンはテニミュに興味がなかったり、DVD等で観られれば十分という人もいます。そこで、こういった「行動傾向」の違いが各校ファンの間にもみられるのか検証していきたいと思います。

 

 

Q7 次のうち興味のあることはどれですか?(複数回答可)

  • 二次創作作品(イラスト・小説)を見る・読む
  • 二次創作作品(イラスト・小説)を創作する
  • テニスの王子様」関連イベントに参加する
  • テニミュ」本公演、ドリームライブ、チームライブ等を観劇する。
  • グッズを集める(いわゆる「痛バッグ」や「祭壇」を作成する)

 

結果

二次創作作品(イラスト・小説)を見る・読む    
青学 不動峰 ルドルフ 山吹 氷帝 六角
89.0% 84.1% 90.8% 94.7% 89.1% 92.9%
緑山 比嘉 四天宝寺 立海 高校生  
66.7% 91.8% 88.8% 86.9% 92.3%  
           
二次創作作品(イラスト・小説)を創作する    
青学 不動峰 ルドルフ 山吹 氷帝 六角
56.0% 62.2% 73.8% 73.7% 55.5% 76.2%
緑山 比嘉 四天宝寺 立海 高校生  
66.7% 61.2% 55.2% 51.1% 76.9%  

 二次創作作品を見たり、読んだりすることはどの学校ファンも9割という高い割合で行っていることのようです。こちらに関しては各校ごとに大きな差は見られません。「二次創作」という言葉は主に同人誌界隈で使われはじめた言葉かと思いますが、現代では同人誌そのものを手にしなくとも、pixiv(http://www.pixiv.net/)等のSNSを用いて昔に比べれば容易に二次創作作品に触れることができるようになりました。それは、創作するという立場から見ても同じかと思います。昔であれば、自分の二次創作作品を発信するには同人誌を制作して、同人イベントに参加したり、レンタルサーバー等を利用して個人サイトを立ち上げる必要がありましたが、現代ではそれもお手軽になりました。しかし、今回のアンケートでは「創作側」では各校ごとに差があるようです。高校生ファンの「創作する」ファンの多さは、高校生キャラクターが登場してまだ日が浅いことに影響するのでしょうか。それ以外の学校ファンの間での差にはどのような要因があるのでしょうか。原作での露出の差やファンの人数の差など様々な要因が考えられるかもしれません。

 

 

 

テニスの王子様」関連イベントに参加する      
青学 不動峰 ルドルフ 山吹 氷帝 六角
62.8% 62.2% 53.8% 57.9% 62.9% 54.8%
緑山 比嘉 四天宝寺 立海 高校生  
66.7% 61.2% 53.1% 61.3% 92.3%  
           
テニミュ」本公演、ドリームライブ等を観劇する      
青学 不動峰 ルドルフ 山吹 氷帝 六角
67.5% 70.7% 75.4% 76.3% 71.1% 69.0%
緑山 比嘉 四天宝寺 立海 高校生  
66.7% 63.3% 80.4% 66.4% 38.5%  

 つぎにイベントへの参加についてです。「テニミュ」とそれ以外の「テニスの王子様」関連イベントで項目をわけたのは、私個人の見解として、「テニミュ」とそれ以外のイベントでは参加しているファン層に違いがあるように感じていたためです。先に下の「テニミュ」観劇について考察します。高校生ファンの結果が有意に低いのはこれは何度か述べているように「テニミュ」に高校生キャラクターが登場していないことに関係するのではないかと思います。その他の学校ファンでは6割から7割ほどと高い参加率ですが、特に四天宝寺ファンの結果が高くなっています。このアンケートの実施したのは「テニミュ」のルドルフ公演が終了し、山吹公演がはじまったタイミングだったので、この二校の参加率が高くなるかと単純に予想したのですが、そうではありませんでした。また、「テニミュ」はストーリー上、青学キャラクターは毎回出演し、対戦校はその公演限りの出演になります。(ドリームライブや「featuring」など必ずしもそうとは言えないかもしれませんが)そのため、青学ファンの参加率が高いのかとも思ったのですが、その予想も外れました。各校ファンが、例えば自分の応援する学校が出演しないテニミュ公演などにどの程度参加しているのか、といったことは今回の調査からは不明ですが、次回の調査ではその辺も詳しく調査すれば、各校ファンの特色がさらに詳しく見えてくるかもしれません。

 「テニミュ」以外のイベントへの参加率は「テニミュ」の参加率と比べて、少し落ち5割から6割ほどであるようです。高校生ファンに関しては全く逆の結果で突出して参加率が高くなっています。高校生ファンのモチベーションの高さの要因について、いろいろと考えたのですが、これというものが考えつきませんでした。高校生ファンの方、またそれ以外の方でも、何がお考えのあるかたがいらっしゃいましたら、ご意見を頂ければうれしいです。しかし、高校生ファンのモチベーションの高さから考えても、今後のイベントに高校生キャラクターの出演が望まれているのは間違いないと思います。高校生キャラクターの活躍するイベントの開催が期待されますね。

 

 

グッズを集める(いわゆる「痛バッグ」や「祭壇」を作成する)    
青学 不動峰 ルドルフ 山吹 氷帝 六角
27.7% 25.6% 26.2% 23.7% 30.5% 33.3%
緑山 比嘉 四天宝寺 立海 高校生  
33.3% 28.6% 28.0% 23.0% 53.8%  

 グッズを集めたり、「痛バッグ」「祭壇」を作成したりするのは最近の新しいオタク文化ではないかと個人的に思っています。「テニスの王子様」という作品はオタク界隈では新しい作品とは言えません。そこで、長寿コンテンツの「テニスの王子様」のファンにも新しいオタク文化が浸透しているのか、調査するためにこの項目を入れさせていただきました。全体としてみると、この新しい文化に興味を持っているのは3割弱ほどで、あまり多いとは言えないということがわかりました。例外として、高校生ファンは半数ほどの方が興味を持っているようです。これは大変興味深い結果であると思います。先の記事で高校生キャラクターは登場が新しいキャラクターであるのに比べ、高校生ファンでは「テニスの王子様歴」の長いファンの方が多いということが明らかになっています。つまり、高校生ファンは新しくオタクになった人々ではないが、新しい文化には興味を持っているということだと思います。高校生ファンのうちでも興味のあると答えている人は半数ほどですので、そういった特色があると言い切るのは難しいかもしれませんが、高校生ファンの特色の見える結果であったのではないかと思います。

 

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 さて、今回のアンケート調査に関する結果、考察は以上となります。たくさんの人の協力の結果、私がこれまで感じてきた各校ファンの間に特色があるのではないかという疑問についてまだ完全ではありませんが、答えが見えてきた気がします。また、テニスの王子様ファンの皆さまにとっても興味を持っていただけるものを提示できたとすれば幸いです。

 次々と新しいコンテンツ、作品が生まれては消費されていく昨今のオタク業界で「テニスの王子様」がこれほど長年愛されてきた理由はなんなのか、また今後も長く続いていくためにはどのようなことが求められるのか、これが私の一連の研究のテーマです。「テニスの王子様」が大好きだからこそ、ただ公式から与えられたものに乗っかるのではなく、私も「テニスの王子様」にためになることがしたいなあ、とここ数年考えることが多くなりました(完全に大きなお世話なのですが)。このようなアンケートを行うことで何ができるわけでもないのですが、何かせずにはいられないという思いです。私個人の勝手な思いですが、テニスの王子様ファンみんなで「テニスの王子様」という作品を盛り上げていければいいなあ、と思います。

 最後になりますが、今回のアンケートに協力してくださいました皆様、本当にありがとうございました!